前回のCompression「圧迫」ですが、圧迫が強いと血流障害を起こし痛みが強くなったり、さらに悪化することがあるので圧迫に関してはみなさんがそこまでしなくても良いかなと思います。
ですのでまずは、自分がなったり見かけたりしたら「Rest・安静」にする。
患部を「Erevation・挙上」。
「Icing・冷却」をしていただいて、それから受診する。もしくは重症の場合は救急医療への連絡の間の、応急処置としてできればやってみてはどうでしょう。
またアイシングには鎮痛効果もありますので、とにかくアイシングをメインに考えていただければ良いと思います。
アイシングの目的は「患部の熱を下げる」ことですので、正しい方法で効率良くアイシングできるのがいいですよね。
ですがアイシングにも色々とあるので、何でもいいの?どれがいいの?どれも一緒だろ?なんて思いますよね。
では、いくつかのアイシング方法とそれらを実際にご紹介していきましょう。
みなさんのアイシングとして身近なものに【シップ(冷えピタなど)・アイスノン・コールドスプレー・水・氷】がありますよね。
まず【シップ・冷えピタ】の類いですが、打撲や捻挫肩コリ腰痛なんかでもよく使われますよね。
これらで、患部の温度を下げるのは不可能なんです。
ガラスコップに水を入れてシップや冷えピタを貼ってみてください。
0.5度も変わらないはずです。シップやそれらを貼ることで「熱を逃がすどころか、熱を閉じ込める。場合によっては温度上昇させる」といわれています。
よくよく見れば「冷感シップ」なんて字の如く、冷たく「感じる」ってだけで実際には温度は何も下がってない、ただメンソールが練りこまれてるだけの話ですね。温感シップも同じで、唐辛子のカプサイシンが入ってるからこれまた温かく「感じる」んです。
【アイスノン】ですが、こちらは温度が一定ではないので効率よく患部の熱が奪えないのと、一定でないため患部が冷えすぎて凍傷になることもあるからです。手ごろで簡単ですが注意して使用する必要がありますね。
【コールドスプレー】は、体表面の温度しか下げなので肝心な深部の温度は下げられません。コールドスプレーも使った人は分かると思いますが、ずっと当て続けると痛くて数秒しかできませんよね。
【水】そこまで冷却効果は望めませんが、安全であるのは確かでしょう。バケツなどに溜めるのであればぬるくなればコマメに交換するといいのではないでしょうか。
【氷】ですが、こちらも冷凍庫の氷をそのまま患部に当てると凍傷の危険がありますので工夫が必要です。
どれも似たり寄ったりなようですが、当院でオススメしている一番副作用の少ないアイシング方法をご紹介します。
①アイスバッグに氷を入れて水を入れる
②少しガサガサと振って氷を水にまんべんなくくぐらせる
③水だけ捨てる
④患部に当てる
氷が解けだすのは0度以上ですので、氷を一度水にくぐらせることで解け始めるということですからそれ以上下がることはありません。0度の水を冷たく感じる人は多いと思いますが、水で凍傷を起こす人はいませんよね。
これでいくら患部に当てても『凍傷の危険はゼロ』ってわけです、これで安全にアイシングができます。
氷から水になる時が一番熱を奪うともいわれていますので、放熱の意味でも効率が良いですよね。
また一般的にいわれているアイシング方法では、15分~20分といわれることが多いですが特にその根拠もなく、なんとなくの感じだけで広まっているのだと思います。
当院では『時間は気にせず、冷やせるだけ冷やしてください』と指導させていただいています。
日数も3日といわれることが多いですが、これは一般的に受傷から3日は患部の炎症があるといわれているからだと思いますが、痛みが引くまでは何日でもやっていただいた方が良いと思います。
ほとんどの人がめんどくさいと思うので、あまりやりませんが早く治したいと思うならやられてみてはいかがでしょうか。早期治癒を目指すか、面倒くさいを取るかどちらも自己責任ですね。
凍傷の危険がない以上、いくら当てても問題はないのと患部は冷却した方が治癒を早めると思います。
慢性症状であっても当院ではアイシングをオススメしています。
そんな感じで、『氷』が一番経済的で手軽にできるアイシング方法なのではないでしょうか。
さらにもっといえば、表面積が大きければ大きいほど氷が溶けやすいことから細かく砕いた氷の方が最も効率よくアイシングできるので大きな塊の氷であれば細かくすると良いですよ。
余談ですが、エアサロンパスは個人的には患部が熱くなるだけで逆に不快になります(笑)アイシングの効果も望めるとは思えません。
それとお風呂ですがシャワーは良いですが、患部を湯船につけないということもお忘れなく。
慢性痛はともかく急性のケガは余計に痛みがひどくなったりしますからね。
アイシング一つでも「冷やせばいいんだろう」とテキトーにやっていると治癒期間にも差が出てくると思います。細かいことですが、より患者さんに副作用の少ないもの、自分が使って安心できるものをアイシング含め施術を提供し、またそういった情報発信に努めたいと思っています。